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2002年5月3日

仕事帰りのバスの車内にて。
映画好きの男性と、そうでもない女性との会話です。



「『ボーン・コレクター』って、DVDもう出とんかいねー?」

「えー、よう分からんけど。どんな映画じゃったっけ?」

「デンゼル・ワシントンが出とったやつ」

「…誰?」

「こないだアカデミー賞取ったじゃん!!知らん!?」

「それ、男?女?」

「おとこおとこ!女はね、アンジェリーナ・ジョリー」

「…名前言われても分からんー」

「『トゥームレイダー』、前見に行ったことあるじゃん!あれの主役よ!」

「…『千と千尋』は覚えとるけど…」

「アクションシーンとか凄いやつよ。親父と共演しとったとかゆうて…」

「うーーーん…」

「…黒ずくめの、こう…おっぱいボーン!の映画」

「あぁあぁあぁ!見た見た見た!!!」






…思わず頭を抱えてしまいました。


2002年5月21日

日木流奈くんをご存知でしょうか?

重度の脳障害というハンディを背負いながらも、文字盤で意思の疎通をはかり、数々の詩や短歌、エッセイを出版するなど各メディアで『天才少年』『奇跡の詩人』云々と話題になった少年です。

わたくしも4月の終わり頃、NHKのドキュメンタリーを偶然見まして、興味を持った次第です。
番組内でもエッセイやら短歌の一部が紹介されていて、それがまたおもろいんですわ。

「そのうちホーキングみたいに、電子音でしゃべるぞきっと」
とか思いながら見ていたのですが、同時に
「多分これ見て、くだらない反響が山のように来るんだろうなあ」と気にはなっておりました。

…案の定、翌日から何百件という反響の手紙、FAX、電話、eメールがNHKに寄せられたそうです。そして思った通り。そのうちの半数は「信じられない」「嘘だ」「母親がやっているのではないか」とかいう低レベルの反論。NHKでも対処しきれなくて、後日別の番組でスタッフがスローVTR用意して「釈明」したらしいですね。

事のてんまつがあまりにも思った通りでがっかりして悲しくて情けなくて、しばらくローになってしまいました。


あのね。

「種も仕掛けもありません」みたいなことして何になるのNHK。
あの番組はびっくり人間を紹介しただけか?

一番嫌なのは、「流奈くん」が「生きた人間」であるという肝心な事が、放ったらかしにされているとしか思えない事です。
…案外、当の本人はこの騒動も「またネタが出来た」くらいにしか思ってなかったりして。



こないだふと思い出して、書店で彼の著書をぱらぱらと読んでみました。彼の境遇やら、一連の騒動やら『天才少年』『奇跡の詩人』とかいう肩書きやらいらん事を抜きにして、おもろい事は確かだと思います。

そしてわたくしの感想。




「こいつ相当ませガキですぜ、奥さん(←誰なんだよ!)


2002年5月29日

夕方、近所の酒屋へビールを買いに行きました。

…最近は「ビールを買いに行く」と云っても、実際に購入するのは『麒麟淡麗』とか『ジャーマンドライ』(←リンク切れ)とかのいわゆる発泡酒だったりして、たまに本物の「ビール」を買うと、ちょっとどきどき致します。
しませんか?

わたくしなど本来なら『銀河高原ビール』『ベルギー修道院ビール』等の、酵母沈澱しまくりのやつを飲りたいところですが、そうもいかず、たはむれに買った『本生』なんかを飲んで「薄っ!」と文句をたれたりするのです。

さて店内へ。当初はいつも通り「発泡酒を多く買う」つもりでいたのですが、何故か気が変わりました。

「よおし。今日は奮発してビールだ!!」
つつましい奮発ですが、とにかく久々にビールを10缶カゴに入れ、ついでに赤ワイン1,800mlパックも入れてさあレジへ、と思ったら先客がいました。

おっさんが突然店に飛び込んで来たのです。

おっさんは、レジのおねいさんに向かって言いました。

「商品券がようけあるんじゃけど、使える?」

「商品券、言われても種類がありますから。どんなんか見せてもらわんと」

…おっさん、店を飛び出して、車の中から何か持って来ました。

「これ。スーパードライの商品券」

「あー、ビール券ですね。1枚458円で計算しますんで、ビールじゃなくても使えます。…100枚あるから、45,800円分の買物が出来ますが」

ビール券100枚!?
45,800円という金額も凄いがビール券100枚!!
そっちの方が凄い!!
しかも使い方を知らんとわどおゆうことぢゃああ!!
…わたくしは、ビール10缶とワイン1,800ml分の重量がぢわぢわと腕に食い込むのもそっちのけで、静かに白熱していました。

おっさんは続けます。

「金券ショップに持ってってもええんじゃけどねえ」

「ああ、ヒスイとかね(注:広島の金券ショップ)

「税務署から色々やいやい言われるらしいんよ、自分で換金したゆうたら」

「はあ」

「商品に替えるんならええらしいわ。で、これは使えるん?」

…おっさん、人の話聞いてません。

「ですから、1枚458円のお買物券として使えます」

「これ、例えばスーパードライのケースと交換してくれゆうたら、どうすりゃええん?」

「ケースでだったら、…うちでは11ケースと半分くらいですねー」

スーパードライ11ケース!!
あんなうっすいビールを11ケース!!
どーせならヱビスにしてくれよおっさん!!
…わたくしはもう頭がくらくらです。

「11ケースもいらんしねー。どうすりゃええかね。」

「税務署、ですか?」

「税務署から色々やいやい言われるらしいんよ、自分で換金したゆうたら」

…それはさっき聞いた。

「どーですかねー。そういう難しい話は、私はちょっと分かりませんわ。…あ、すみません、こっちどうぞ」

おねいさん、話にならんと見越したか、わたくしをレジに導いてくれました。

「じゃーまた考えますわ」

「どーもすいませんねー」

おねいさん、何となくせいせいした様子。

「…何か難しい話してましたねー」

「…ですねえ。こう素直にほいっと使やええのに、それが出来んみたいですね何か。…分かりませんけど」




素直にほいっと買ってみたいなあ。銀河高原ビール11ケース。


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