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2012年11月11日

平成24年大相撲11月場所が始まりました。今場所は久々の東西横綱、立行司がそれぞれ揃い、日本人を含めた5人の大関、若手力士の躍進、ご当地九州出身の双葉山生誕100周年という事もあり、我々お相撲好きは何日も前から初日を楽しみにしておりました。
さて。
九州場所といえばここ数年客足が伸び悩み、一時はGoogleで「九州場所」と打つと「九州場所 ガラガラ」という候補が出るほどで、「九州場所を本場所から外してはどうか」という論争が起こったこともありました。
残念ながら今日もその例にもれず、初日の日曜日にもかかわらず枡席には空きが目立っておりました。相撲協会提供のストリーミング配信の画面を前に「こんなに面白いのにねえ…」と思いながら、いつものようにTwitterのタイムラインを実況ツイートで荒らしつつ、同じお相撲好きのフォロワーさんとやり取りしている中、取組終了後にこのようなツイートが流れていたことを知りました。

大相撲九州場所、初日。やっぱり、日馬富士って、人気がないんでしょうか。新横綱が誕生した最初の場所の初日なのに、満員御礼が出ず。これは、日本相撲協会に記録が残っている1985年以降で、初めてのできごとです。

…なんとこれ、某大手新聞社の相撲担当記者のツイートで、はっきりと「どこどこ新聞社の記者です」と自己紹介した上でのアカウントなのです。新聞社の記者の立場で、初日に満員御礼が出なかったのは日馬富士のせいだと言い切っているのです。
何これ。
まず「やっぱり〜人気がないんでしょうか」って何だ。そりゃ記者だって人間ですから、好きな力士嫌いな力士がいたって別に構いませんけど、そこで自分の好き嫌いは言わずに「人気がない」と、日馬富士自身のせい、あるいは見る目のない観客のせいにしています。
じゃあ何で人気がないのか?と調べるのが記者の仕事だと思うのですが、調べたことといえば「1985年以降、新横綱最初の場所の初日で満員御礼が出なかった」というデータだけ。これだけで「ほらやっぱり日馬富士は以前から人気がない、ですよね」と言っているのです。
すごいなあ。
看板力士がいさえすれば九州場所の席ガラガラが解消出来るなら、あの魁皇が現役だった時に既に空席が目立ってたのは何だったんでしょうか。琴奨菊が大関として最初に迎えた昨年の九州場所でさえガラガラだったのはどう説明するのでしょうか。2人とも九州、しかも福岡県出身で、ご当地ともなるとかなりの看板力士であるはずです。特に魁皇は他の横綱・大関を凌ぐ程の圧倒的な人気を誇り、当時の対戦相手だった横綱朝青龍でさえ、応援の圧力に猛烈なプレッシャーを感じたと言っていました。
そんな人気力士がいたにもかかわらず、福岡国際センターを連日満員にすることが出来ないのです。
じゃあ魁皇が横綱だったら、琴奨菊が横綱になったら満員になるかといえば、それも難しいでしょう。
人気力士がいればお客が自然と集まるとかいう単純なことではないのです。他のスポーツや娯楽を目にする機会が増えて選択肢が拡がったこともあるでしょうし、お相撲に関していえばたびたび短縮されるTV中継、深夜2〜3時というとんでもない時間にしか放送されないダイジェスト番組、相撲雑誌の相次ぐ廃刊。もっといえば景気(特に福岡県)の問題とかなんとか、色々な要素が絡み合っているはずで、昨日今日の問題ではないのです。それを横綱、しかも日馬富士ひとりのせいにして、「懸賞本数が、結び(白鵬)28。結び前(日馬富士)が11。人気がないのは確かです。」とかおいおい、懸賞本数=人気の度合いとかお前本当に相撲担当記者か?と目を疑うレベル。
普段何を取材しているのか知りませんが、とにかくこの人は日馬富士を人気がないことにしたいのでしょう。2ch相撲板のアンチスレにでも書いてろと言いたい。

…せっかく初日からいい相撲が多かったのに、こんなもんで冷水を浴びせられた気分ですが、今場所新十両の竜電(元安芸乃島の高田川部屋)が、同じく十両の貴ノ岩(貴乃花部屋)に快勝したのはよいことでありました。
いよいよ今週の金曜日・土曜日と現地観戦に向かいます。既にチケットぴあでイス席を購入済なのですが、ここまでガラガラだったら枡席バラで買えないかなあ…とか色々考えております。ガラガラだとこういうメリットもあるんだぜふふ〜ん。
日馬富士日馬富士・土俵入りのせり上がり後のかっこいいポーズ。(10月の広島巡業より)


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