夢をさがして

<<<夢一覧


8:トイレの夢(その3) 〜酒とトイレと英五とわたし〜

高校の同窓会かなんかで友達と飲んでいる。
そこは巨大なビルがまるごと一件の呑み屋になっており、廊下に面して貸し切りの宴会場が並んでいる。
各宴会場は完全に独立していて、のれんをくぐって奥の座敷に入って行くのだが、客の出入りは自由らしく、いつの間にか自分の座敷に知らない人が入っていたりして、なかなか妙なおもむきである。

トイレに行きたくなったので一旦廊下へ出た。
各部屋の宴会風景は、格子窓を通して丸見えで、宴会と云うより吉原の遊廓に似ていた。
さて、突き当たりに見つけたトイレ。
学校のトイレと見紛うような広いスペースに、整然と個室が並んでおり、男女の区別なし。しかも個室のドアは布製のアコーディオンカーテン。磁石で「カチッ」と止めるだけでカギなし。
嫌な予感がしたが、ちょうど他に誰もおらず、さっと済まようと思ったら、赤いワンピース着たおばはんがいきなりカーテンを開けた。

「あら、ごめんなさいね」
…個室はいくらでもあるのに、わざわざここを開けることはなかろうと、気を取り直す間もなくまたおばはん。

開ける「あら、まだなの?」

「あんたが開けるけん、出来んのじゃろうが! 来るなボケえ!!」
出るものも出ず、悪態をついてその場を後にした。

別のトイレを探して、今来た廊下を引き返していると、太い声で誰かが呼んでいる。
「おーい、何してんのここで」

英五と町娘

河島英五が、町娘風おねいちゃんを引き連れて、ポン酒を持って出て来た。

「あ、どーも」
「こっち来て呑もうや。ちょうど盛り上がってるし」

…河島英五って死んでるよね。
…あっちで一緒に呑むってことはつまり、
…(ここまで気付いているのに、夢だと分からないところが夢の醍醐味ってとこですね)
「あー、今日は同窓会で来てるんで、またの機会に」
「あそう。じゃまたねー」

後ろ髪引かれつつトイレを探す。

ようやく次に見つけたトイレも、先程と全く同じ外観で、もちろんアコーディオンカーテン。ただしここはちゃんとカギがついていたので、開けられる心配はない。

カギ

やれやれと思って便座に腰を下ろしたその時。ぎゅんぎゅんぎゅんと云うモーター音と共に、クイズタイムショックよろしく便器がどんどんせり上がっていくではないか。
「おおおおおいっ!!」

上がる

2メートル程上昇し、アコーディオンカーテンから顔がのぞく高さでようやく止まった。

のぞく

見下ろすと、今通った廊下や宴会場の様子が俯瞰出来るようになっている(…天井はどうした天井は)。
ふと見ると目の前に貼り紙。

『眺めをお楽しみ頂きながら、ごゆっくりどうぞ』

ごゆっくり出来るかあああ!!
しかも用を足した後の水洗レバーは何処にある?
紙は?
だいたい降りるのはどうするんだ?
疑問が次々湧き出て用を足すどころじゃなくなったところで、


目が覚めた。



…こんなことなら、河島英五と一緒に呑んでりゃ良かったよ。


<<<夢一覧