うさぎ縦横無尽

『うさぎで一杯』web版

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第5回:うさぎの春1998

…去年は良かった。
何が良かったってうさぎがまだ小さかった。
夏から秋にかけてずんずんでかくなるにつれ、年明けと同時にやって来るであろう発情期の事を考え、怯えていたものである。嘘だけど。
しかし、去年片手で相手をしていたうさぎのSVL25cm、体重1kg弱。それが今年の正月、奴はSVL33cm、体重1.8kgに成長していたのだ。もはや手に乗せて指をくいっ、で済む相手ではない。さてどうしたものか、とか言う間もない1998年1月3日、うさぎの『手袋はみっ』が始まったのである。

「来たあ!!」
とりあえずしばらくは、去年お世話になった緑手ぬぐいを抱かせてしのいでいたのだが、どうも心もとない。そこで出た苦肉の策が『イグアナ用ダッチワイフ』である。うまい具合に三日月型に残っていたスポンジの切れ端をベースに、すっかりくたびれた緑手ぬぐいを合わせてミシンをかけてみたらあら不思議、SVL26cmの幼な妻・南米1号の完成である(よい子の皆様はネーミングについて深く考えないようにしませう)。
形状としては、人間用抱き枕に長い尻尾が付いたようなものとおもっていただければ間違いなかろう。
さて問題はこれを見せてうさぎがどう反応するかである。見向きもしなければまさしく無用の長物という、笑えない話になってしまうのだが、試しに日光浴中のうさぎに見せt

見事“彼女”は押し倒されてしまったのだ。良かった良かった。
その後数日でうさぎは完全に使い方を覚えてしまい、自分で温室の戸を開けて出て来て“彼女”をくわえて連れ回し、用事を済ませるとまた温室に戻っていくという技まで披露してくれるようなったのだ。ちゃっかりした奴である。

このお陰かどうかはともかく、今年の発情期も我々はうさぎに攻撃されたということは今のところは、ない。最近はどんどん図々しくなり、“彼女”のくわえどころが悪くてうまくいかない時など、こっちに走って来て腕に飛びついたりする。…「手伝ってくれい!」というわけだ。人間だったらぶっ飛ばすところである。
まあ、平和な光景、と言っていいのだろうな、多分。

【イグアナ通信No.6(1998年6月10日発行)掲載分※『近況報告・うさぎでもう一杯』として】


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