うさぎ縦横無尽

『うさぎで一杯』web版

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第8回:餌について

現在イグアナを飼っている方々の中で、その生態をよくよく勉強した後でイグアナそのものを購入されたという方は、果たして何人おられるだろう。ほとんどはいきなり実物を見て「わーきゃー可愛いー!えー割と安いじゃーん買っちゃえ買っちゃえ!」ってな具合で連れて帰っちゃったというパターンではなかろうか。
…そう、まさに我々がその「わーきゃー」で購入してしまった典型なのである。
さて、そうして晴れてイグアナオーナーとなった人々が、例外なく出くわすのが餌の問題だろう。
購入したショップの店員でさえ知らない、イグアナの飼育書なんて当時は1冊もなく(今だってあんまりないが)、藁をもつかむ思いで購入した『爬虫類』と名のつくハンドブック(しかも大抵両生類と一緒になってたりする)を見て、その記述に愕然とする『幼体は昆虫・動物食』。ミルワーム、コオロギ、ピンクマウスなどの名前が写真付きで迫ってくる。
うええ、こんなん食うのか!?やめときゃよかったかなあと、その時一瞬でも思った方、挙手をお願いします。

はい、ありがとう。

とりあえず『基本的には草食』という部分を信じ、青菜やトマトなんかからスタート、これは割とすんなりクリア。
…しかし、これだけでは駄目なのである。
昆虫なのである。
奇しくも季節は8月。思い余った私は外に飛び出し、道端のわずかな茂みをかきわけ、2・程のショウリョウバッタをつかまえてきた。よしよし。逃がさないよう急いで家に帰り、うさぎに差し出した。
食べたのである!
これでひとまず安心だと思った。これから秋にかけてコオロギなんかも出て来る。片っ端からつかまえてやれば経費ゼロ、うさぎにも良いし、これは楽勝だと思ったのも束の間、それっきり昆虫に見向きもしなくなったのである。
蚊に刺されながらつかまえたコオロギを見せても、ゆっくり目をつぶるだけなのだ。
具合でも悪いのか? 動物性タンパクを食べないと大きくなれんぞ!と勝手に解釈した我々は、苦肉の策で鶏のささみを与えてみたのである。これは良く食べた。良く食べるので野菜のほうがおざなりになってしまう程で、これはさすがにいかんと思い、ささみを野菜でくるんでみたりもしたその年の11月。YILの『イグアナ イグアナ イグアナ』と出会ったのである。
その時のうさぎのSVLは、3ヶ月で1cm増。おー、成長したねえと喜んでいたところへ『1年でこんなにでっかくなります』という写真つき。
何だこれは!? 何食ったらこんなになるんだ!? やっぱり生き餌か!?と思ってしまった程だった。
今考えれば、ケージが狭すぎて大きくなれなかったのかもしれないが。
とにかくこの本のお陰で、完全草食に切り替え、今に至るのである。もしかしたらあの時バッタを食べたのも、たまたま緑色だったから、野菜と間違えただけだったのだろうか。
…とここまで書いてふと、メジャーで測ってみたのだが。'99年4月14日現在、SVL39cm。3年前の当時と比べて28cm増。おー、成長したねえと、そっと喜んでみたのでした。

【イグアナ通信No.9(1999年9月10日発行)掲載分】


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