うさぎ縦横無尽

『うさぎで一杯』web版

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第6回:水を飲んだとき

うちのイグアナは水を飲まない。前に見たような出だしだが、本当に水を飲まない。まあ個体差だといえばそうだし、不足分は食物に含まれる水分で何とか補ってはきた。
しかし。
我々が家に毎日いるのならともかく、場合によっては数日家を開けるときもある。
食料は植木やイグアナフードでしのげる。
トイレに関しては今や全く心配していない。
問題は水である。水分補給といってトマトやきゅうりを温室の中に放置すればどうなるか。全身スプレーはどうするか。そのときになってからでは遅いのである。
しかし彼は水を飲まない。器に青菜が半分ひたる位の水を入れ、食べているうちに自然に水が飲める様にしてみたことがある。結果は完敗であった。うさぎは水面から出た分だけを食べ、水につかった部分は食べようとしないのである。顔をつけると溺れてしまうとでも思っているのだ。お前は水泳の苦手なお子様か!
こうなったら根本から考えを変えなければならない。まず、水が恐ろしい物ではないことを覚えさせなくては。
それには、顔をつけずに水が飲める様にする必要がある。
そこでまず、ハムスター用の水飲み器を購入。円筒形の容器の下に管がついていて、なめると水が滴下するやつである。早速温室内に設置してみた。予想はしていたが、何の反応も示さない。口元にもって行くと、異物とみなして目をつぶる。放っていたら、水飲み器の真下でボビングをかまして鼻面にぶちあて、容器を落としてしまった。
こんな具合で数ヶ月、こいつは単にあほかもしれないと思いはじめたある日。餌を与えた後、水飲み器の先端でうさぎの口をつついてみたところ、取り憑かれたようにめるめると飲み始めたのだ。やっと、水を飲んで死ぬことはないと理解したようである。それにしても、いつまで飲んでいるのか。出て来る量が少ないとはいえ、1〜2分は飲み続けていただろうか。
その後も、こちらがつつけば水を飲むようになり、これはもしやと思った私は、器に水を入れ、うさぎに差し出してみた。 飲んだ。水面に顔をつけ、あたりまえじゃんという顔をしてひたすら飲んでいる。
たかがこれだけのことが今まで出来なかったのか、それとも意図的に避けていたのか(何のために?)。とにかく、なんの事はなかったのである。
今では、イグアナフードなどかわきものを多く摂取したときなどには、かなりの量の水を飲むようになった。ついでにいうと、あれだけ苦しんでいた便秘(3〜5日おき)が、水を飲みはじめてからほぼ毎日というペースに改善されたのである。彼の便秘は、やはり単純に水分不足が原因だったのだ。よほど幼い頃に水で恐ろしい目に遭ったのか、ほかの原因によるものなのか、結局分からないままだが、これによって「イグアナは水を飲まない」動物ではない、ということが証明された訳である。

さあ次の目標は、お風呂だ。

【イグアナ通信No.7(1998年11月20日発行)掲載分】


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